2024/12/28

2024年度日本水産工学会秋季シンポジウム概要報告

 

 

 11月29日に東京海洋大学楽水会館において2024年度日本水産工学会秋季シンポジウムが開催されました。本シンポジウムは「水産基盤の大規模災害と漁村復興の課題」をテーマに,水産庁および全国漁港漁場協会の後援のもと行われました。
 開会にあたり,松下吉樹会長理事より挨拶があり,続いてコンビーナーの佐藤昭人氏(東京海洋大学)が趣旨説明を行いました。その後,計8名の講演者による発表が行われました。

 

【前半:能登半島地震関連の講演】
 前半では,能登半島地震に関する講演が4名より行われました。
•藤原孝浩氏(石川県水産課)
 能登半島地震における水産関係被害の状況と復旧・復興の現状を報告。
•小松英則氏((一社)水産土木建設技術センター)
 能登半島地震における漁港被害の調査手法について事例を交えて紹介。
•後藤卓治氏((一財)漁港漁場漁村総合技術研究所)
 地震による隆起がもたらした漁港被害とその対応について報告。
•石川竜子氏(わじま海藻ラボ)
 輪島海岸の隆起等が藻場資源に与えた変化についての調査結果を紹介。

 

【後半:大規模災害を踏まえた漁業再生・復興】
 後半では,過去の大規模災害を踏まえた漁業再生と漁村復興について4名より講演がありました。
•麓貴光氏((株)水土舎)
東日本大震災における水産物流通の観点から見た漁業再生の課題を報告。
•富田宏氏((株)漁村計画)
大規模災害からの漁村復興まちづくりにおける課題を紹介。
•朝倉邦友氏(水産庁計画・海業政策課)
災害に強い水産地域づくりに向けたガイドラインの要点を共有。
•長野章氏((株)長野漁港技術事務所)
大規模地震や津波災害を踏まえた水産基盤と漁村復興の課題を考察。

 

【総合討論】
 総合討論では,岡安章夫氏(東京海洋大学)が座長を務め,講演者と参加者による活発な意見交換が行われました。議論の焦点は以下に集まりました。
•創造的復興の重要性と難しさ
•漁業再開への意識への影響
•地域コミュニティ内での十分な議論の必要性
•事前復興準備の重要性

 

【閉会挨拶と参加者の反応】
 最後に,本会企画担当理事の伊藤靖氏より閉会挨拶があり,シンポジウムは盛況のうちに終了しました。会場では満席の124名が参加し,「興味深く有意義な内容だった」との声が多く寄せられました。本シンポジウムは,水産基盤の大規模災害と漁村復興に向けた課題解決を探る貴重な場となりました。

 

秋季シンポジウム コンビーナー

佐藤昭人(東京海洋大学,(株)不動テトラ)
岡安章夫(東京海洋大学)
綿貫 啓((株)アルファ水工コンサルタンツ)
三上信雄(北日本港湾コンサルタント(株))

 

 



上段左より松下会長,佐藤明人氏(東京海洋大学),藤原孝浩氏(石川県水産課)
下段左より小松英則氏(水産土木建設技術センター),後藤卓治氏(漁港漁場漁村総合技術研究所),石川竜子氏(わじま海藻ラボ)

 


上段左より麓貴光氏(水土舎),富田宏氏(漁村計画),朝倉邦友氏(水産庁計画・海業政策課)
下段左より長野章氏(長野漁港技術事務所),岡安章夫氏(東京海洋大学),伊藤靖氏(漁港漁場漁村総合技術研究所)

 


総合討論の様子

 


会場の様子

 

 

カテゴリ:日本水産工学会の行事