2023/12/07

2023年度日本水産工学会秋季シンポジウム概要報告

 

 12月2日に東京海洋大学楽水会館2023年度日本水産工学会秋季シンポジウムが開催されました。テーマは「海業における漁港の増養殖利用の現状と課題の解決に向けて」で、水産庁、全国漁港漁場協会、漁港漁場新技術研究会の後援のもと行われました。
 木村暢夫会長の開会挨拶に続き、コンビ―ナーの佐藤昭人氏(東京海洋大客員教授)が趣旨説明を行い、8人の講演者が登壇しました。
 落野憲人氏(水産庁)は、増養殖業への地域ニーズの高まりと水産庁の推進施策について報告されました。小島博憲氏(対馬市基盤整備課)は、対馬市での漁港を利用した養殖事業、特に尾崎漁港でのマグロ養殖の成功例について報告しました。山内康司氏(日鉄エンジニアリング)は、漁港ストック活用の可能性と課題、大規模沖合養殖システム技術の重要性について述べました。綿貫啓氏(アルファ水工コンサルタンツ)は、マナマコの漁港施設における増殖のための生育環境改善事例を紹介しました。
 伊藤敏朗氏(三省水工)は、海藻育成システムの開発とカーボンニュートラルへの寄与について、林浩志氏(漁港漁場漁村総合技術研究所)は、陸上養殖の拡大と地下海水の利用に関して発表しました。さらに、松田成史氏(鳥取県栽培漁業センター)は、地下海水を用いた陸上養殖の利点と挑戦について、小丸志磨氏(広島県港湾漁港整備課)は、走漁港での陸上養殖施設誘致の経験を共有しました。
 総合討論では、東海正教授(東京海洋大学)が座長を務め、講演者と参加者間での活発な意見交換が行われました。議論の焦点は、海面養殖と陸上養殖の技術的課題、法令や規則への対応、周辺との合意形成、そして海藻養殖によるカーボンオフセットの可能性に集中しました。
このシンポジウムは、漁港の増養殖利用における現状と課題の解決策を探るための重要な場となり、127名が参加しました。

 

秋季シンポジウム コンビーナー

佐藤昭人(東京海洋大)
東海 正(東京海洋大)
綿貫 啓(企画担当理事)

 





上段左より木村会長,落野憲人(水産庁計画課),小島博憲(対馬市基盤整備課)

中段左より山内康司(日鉄エンジニアリング(株)),綿貫啓((株)アルファ水工コンサルタンツ),伊藤敏朗(三省水工(株))

下段左より林浩志((一財)漁港漁場漁村総合研究所),松田成史(鳥取県栽培漁業センター),
小丸志磨(広島県港湾漁港整備課)


   

企画趣旨説明              会場の参加者
 



総合討論:東海正座長(東京海洋大学)とパネリスト(講演者)の皆様
 

 

カテゴリ:日本水産工学会の行事