会長あいさつ |
会長あいさつ
本学会は,水産土木工学分野,漁船工学分野,漁業工学分野を中心に,近年では関連する情報・データ科学分野や社会科学分野まで幅広い研究分野を包摂する学術団体です。その前身は1963年に始まった農業土木学会水産土木研究部会で,1990年6月25日に日本水産工学会としてスタートを切りました。このように積み重ねられてきた水産工学会の歴史の先に新たな歩みを踏み出すことに,大きな責任を感じています。昨今の水産業の状況を振り返りますと,コロナウイルス感染症による経済活動の停滞からの回復により,漁業・養殖業の生産額は増えつつあるものの,生産量自体は減少傾向です。また漁業就労者の減少も止まりません。こうした背景には海洋環境の変化,特に海洋温暖化や磯焼けなどの問題があると考えられ,漁場の回復,整備や気候変動,温室効果ガス削減などに対応した漁港や漁船,漁業の検討など,水産工学研究がこれまで以上に求められている状況です。また,近年,スマート漁業・養殖業や地域資源を活用する海業の振興,海洋再生可能エネルギー施設の建設などが国策として急ピッチで進められ,水産工学会のコミュニティへの研究ニーズはますます増加しています。これらの重要性を強く意識しつつ,会員の皆様方と歩んでいきたいと思います。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
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